眠りにつくまで

 




長時間露光では写せもしない夜の新幹線を撮っていた






撮っている本人よりも挙動不審な 借り物5D のシャッターが切れなくなった

バッテリーを入れ替えても 沈黙していた

元祖廉価フルサイズ 10年ほど経つのだろうか

今 まさに 僕の趣味の写真は 終わったのかしら








シャッターを 半押し すると ファインダーの中が 真っ暗になった

シャッターが切れたのだ

どうやら 電気の通りが悪いみたいだ








写真向きとは言えない夜空

でも まあ それなりに切り取ることはできる

慣れという 惰性のような 進歩の無い 撮影技術で

変わらないままの 僕の やりようで






時折 深いスリープ状態になるが 何度かトライすれば 起動して シャッターが切れる

そのうち 本当に眠ってしまうんだろう と思う



まだ 撮れるなら・・・

南に向かった





いつからか あのころからか

ロケーションを定めていなければ 南の方を巡る 

巡る


そんなときは いつも 

と いうか 

僕が夜撮りする夜は 色気のかけらもない 曇り空だったりして

「背景が無い」

と 毎夜 思ってた


でも 違ってた

あのとき たしかに そこにあった 情景が    もう そこには 無い

やっぱ 「被写体が無い」んだなあ



そこには

『背景』しかなかったよ

イメージ 1





移動中 仮眠していた5Dが 不機嫌なままだが 起きてくれた


まだ
また
『これが最後の夜撮りかしら』と思いながら 巡るのさ

被写体を さがして